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問題解決手法の新しい潮流

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東洋経済のThink! 2015 Spring No.53

「問題解決の強化書」

と表紙にある通り、現在の問題解決手法のトレンドがざっとつかめる一冊になっています。ロジックツリー、MECEのような定番の手法にとどまらず、システム思考的なアプローチや、TOC的問題解決(岸良氏)や神田氏のフューチャーマッピングまでをカバーしています。読み応えは十分。

全体を通してみて見ると、

「古典的な問題解決手法は現場で使うには不完全」
「全体像(システム全体)に注目するのが大切」


というメッセージが見て取れます。個人的にざっくり気になったポイントをメモ。


■高島宏平(オイシックス代表取締役/元マッキンゼー)

・リーダーは問題解決屋になってはいけない
 (経営者がそれをやりすぎるとネガティブな感情が組織に蔓延する)

・コンサルタントは「できていないこと」を発見するのに長けているが、
 実際の経営では生産的ではない
 →できていること(明るい兆し)に積極的に目を向けてそこを伸ばす



■渡辺健介(デルタスタジオ代表取締役/元マッキンゼー)

・実業は現状分析や情報収集による問題解決に明け暮れることは無理。
 さらにやってみて初めて分かる事が圧倒的に多い(頭でっかちはダメ)

・「もっと良くしたい」という強烈な願望が問題解決の前に必要
 →商人的問題解決(Want/意志 ×Think/分析×DO/実行)



■高木芳徳(TRIZ専門書の著者)

・トレードオフ(ジレンマ)を解決できるパターンを統計的に提示



■岸良裕司(ゴールドラットコンサルティングジャパンCEO)

・問題を分割せずに、望ましくない現象を因果でつなぎ合わせて「システム全体」を見極める

・根本問題を「クラウド」手法で見つけ出だし、それが問題の根本なのかを検証する

・クラウドで「ジレンマ」の解決法を探し、その全体への波及効果を再度検証する



■大嶋弘(OJTソルーションズ エグゼクティブトレーナー)

・トヨタ生産方式のなぜなぜ5回実践編

・フィッシュボーンチャートで「真因」を探る
 (「なぜつながり」「だからつながり」で因果関係をチェック)



■大嶋弘(OJTソルーションズ エグゼクティブトレーナー)

・トヨタ生産方式のなぜなぜ5回実践編

・フィッシュボーンチャートで「真因」を探る
 (「なぜつながり」「だからつながり」で因果関係をチェック)


■神田昌典(経営コンサルタント)

・本当に優秀なコンサルタントはかなり右脳的であり、それで仮説を作ってスタートする
(ただし話す時は左脳的)

・右脳的問題解決を「フューチャーマッピング」として手法化


■平井孝志(ローランドベルガー執行役員)

・綿密な分析をしても答えは一つに絞り込めない(だから必ず「決断」が必要)
 
・問題解決テクニックをいくら磨いても、それだけでは問題解決はできない

・一つの解決は、システム全体に影響するので、それを考慮しないとダメ

・意思決定にはセンス(直観)が必要であり、そのためにはリベラルアーツが必要



■佐渡誠(KPMG ディレクター)

・ゴールを決めてから具体的な問題解決をスタートする(仮説ベース)

・スジの良いゴールは「実現性」と「新規性」のトレードオフの間にある最適ポイント
(そこポイントを見極めるテンプレートはない)



■川崎健史(AT ディレクター)

・ある意思決定がどういう結果をもたらすかを「ゲームツリー」等で想定するのが大切
 (「想定外」をできるだけ排除。しかしすべては排除できない)


上記を見ても分かる通り、分析一辺倒だったこれまでの「細分化アプローチ」が限界を迎えており、それを保管する形で「統合的アプローチ」がかなり注目されてきているというのが最終的な感想。

つまりどちらも必要なのに、これまでは片手落ち状態だったってこと。

デザインや直観、洞察を含んだ「統合的アプローチ」は特に新しい訳ではないけど、分析のようにフォーミュラを作りにくいので、その重要性が過小評価されてきましたが、ただ時代が進んできて、その重要性が再注目されているようにも見えます。


こちらご参考まで: 
・「問題解決の2つの潮流:ピラミッドストラクチャーとシステム思考

行列のできるドーナツ屋さんが成長の限界を迎える理由
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若林計志

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株式会社フローワン代表取締役。日本最大級の海外オンラインMBAを立ち上げ、事務局長を約11年間務めた後、独立。ビジネスパーソンのマネジメント力アップ、学習システム/アプリの開発等に取り組んでいる。 TOCfE国際認定コース修了。コロンビア大学大学院ICCCR 交渉術講師認定コース修了(by Dr.B.Fish) info@flow-one.com

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