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ブログの引越し作業中

段階的にブログの引越し作業を進めています。

http://flowone.hatenablog.com/

このF2Cには3年前に「楽天ブログ」から引っ越したのですが、いろいろな面で不足を感じるようになってきました。したがって、主に下記のKPIで引越し先の評価を行っています。

ーカスタマイズのしさすさ
ーデータの分析
ー記事URLが即時サマリー表示されること
ーSEO的なメリット
ー有料プランによる広告の非表示
ー表示スピード
ー検索性/カテゴリー表示

具体的には「Hatena」「Blogger(Google系)」「Wordpress」を比較しています。

シーリングライトのイノベーション

以前電気屋にLEDのシーリングライトを買いに行って、アイリスの超シンプル機種(これで十分)と、倍以上値段のする高い商品ラインのSharp「ソメイヨシノ」色など、いろいろな色が出る機種を見ながら「もうイノベーションはないカテゴリーなのかな」と思っていたけど、そうでもないんだなあと思う。

これで、朝日が昇ってくるのを再現して起床を促したり、寝ながら映画とか天体観測ができたら最高。

窓のない部屋に「太陽光」を疑似再現するLED照明が凄すぎる
http://ideahack.me/article/1702

スリランカ 2015 from 2000

実に15年ぶりにスリランカ(コロンボ)を訪問してきました。その簡単な印象&雑感(まとめ)です。



【はじめに】
15年前はNGOスタッフとして外務省や現地のNGO、財団と連携し、当時続いていた内戦の解決の糸口を探る活動ために現地に滞在していました。紛争は主に北部地域で行われていましたが、コロンボでも自爆テロがたまに起こっていました。

colombohouse.jpg当時、滞在先のゲストハウス前にもよく回ってきていたWall's Icecreamの行商さん(いつも同じ人ではなかったがよく買っていた)が、近所で自爆テロを行って死んだのが印象的でしたが、現在は極めて安全な国です。

また紛争のイメージが強かったので、ASEAN諸国と比べると注目度が低いのですが(*「地球の歩き方」のスリランカ編を売っている書店が少ないことからも分かりますが。)、2009年に紛争が終結してからは

年6−8%

で経済発展しています。その意味では、東南アジアでアーリーステージの投資ができるビジネスチャンスに溢れた国とも言えます。

また

英語が通じること
仏教という価値が共有できる

という意味ではアドバンテージがあります。

*写真は当時滞在していたゲストハウス。当時お世話になった人に会えるかなと思いましたが、改装工事中でした。
(ちなみにここを拠点に活動している間、5名中3名がデング熱に感染。デング熱にはいまでも有効なワクチンがないので、みんな4−5日苦しんだのでした。日本でも数年前、代々木公園でデング熱騒ぎになりましたよね。)



【交通インフラ】

▼自動車
2015年現在は内戦はすっかり終了し、他の東南アジア諸国と同く経済発展モードです。特に道路インフラは劇的に改善されています。2000年は空港から市内に行くまでセキュリティチェックポイントがあり、下道を通って数時間かかっていましたが、現在は日本の資本で建設された近代的な高速道路があり、ETCも使えます。

>「スリランカ初の本格高速道路交通管制システムが運用開始…三菱重工納入(2015年8月10日(月))

当然ながら市内まで自動車であっという間です。(白と黄色の道路点検車はNEXCOなど日本の会社が使っているものと全く同じなので、ここは日本かと思うほど。)

自動車は日本と同じ左車線(右ハンドル)なので、日本の中古車が多く、「なんとか保育園」「なんとか豆腐店」などと日本語書かれたボロいマイクロバスや軽トラだらけでしたが、現在は日本車はもちろん、アウディやBMWの新車もバンバン走っています。

ただ急増する自動車需要に対して道路キャパが足りなくなってきており、最近(11/20に)政府が輸入自動車に大幅な関税をかける決定をしています(例えば、輸入車には販売価格+50万円、ハイブリッド車には+250万円近くの増税で、今回お世話になった現地ガイドさんはかなりご不満の様子でした)

【川崎大輔の流通大陸】日本車を求めるスリランカ、中古車輸入政策の変遷

→車を小綺麗にしている人が多い様子だったので、ビジネス的にはオートバック的なカー用品ショップは需要がありそう。

3輪タクシーやTATA製のミニカーみたいなタクシーもいっぱい走っている一方、日本に先行してUber(ウーバー)もかなり普及しているそうで、新旧が混在している感じです。

eki.jpg▼鉄道
一方コロンボ周辺の鉄道はほとんど普及しておらず、「世界の車窓から」で出てくるようなボロボロの汽車に低所得層の人々がドアの締まらない出口付近に大量にぶら下がって乗っているような感じです。

→インドネシア高速鉄道案件で日本は失注しましたが、スリランカでは是非頑張ってもらいたいところ。南部はすでに中国製の高速鉄道建設中です。

>「スリランカ初の都市鉄道、月内入札へ 日本勢参画に期待 2015/10/6 12:43日本経済新聞


shanglira.jpg【不動産/ホテル】
大規模なオフィスビルやホテルの開発があちらこちらで行われています。中国資本のシャングリラをはじめ、パキスタンやシンガポール系が多い様子。

またホテルは「超高級ホテル」と「ボロい旅館」の別れており、日本でいうアパホテルや東横イン的なミドルクラスホテルが需要に追いついていないそうです。逆に言えば、そこにビジネスチャンスがあります。

スリランカ、外国人旅行者数が過去最高 今年の目標200万人達成へ (2015.12.29 08:42)



【アパレル関係】
タイやフィリピンと比べると、ユニクロ、ギャップ、ZARAのような大手ファストファッションチェーンがコロンボ市内にはまだ進出していないようで、ビジネスチャンスがありそうな雰囲気でした。


【携帯電話】
電波は4G LTEに対応しており、iPhoneも普及しているそうです。大手はSri Dialogなど3−4社あるそうです。

タイやフィリピンのような携帯端末やITガジェットを大量に売っている外国版秋葉原みたいな店はあまりない様子でした。(ショッピングモールのMajestic Cityの隣には「ラジオ会館」みたいな小さい市場ありますが。)



【家電/コンピューター】
日本の家電はほとんどなく、地元のSINGERやAbans、韓国勢(LGなど)が相当部分を占めています。パソコンはASUSがやたら幅を利かせていました。



【日本とのつながり&歴史】
スリランカは1948年に独立しましたが、それまではポルトガル→オランダ→イギリス(東インド会社)など長らく列強の植民地でした。イギリス時代に南インドから紅茶プランテーション等の管理をさせるために南インドなどからタミル人を連れてきて”手先”として使っていたため、第二次世界大戦後にイギリスが手を引いた後、もともと現地にいたシンハラ人の怒りが爆発します。

戦後タミル人の選挙権を剥奪し、人権侵害を含むあらゆる面での政治的圧力を強めたため、タミル人側も怒りを募らせ、分離独立を叫ぶようになりました。その中心的存在がLTTE(タミールイーラム解放の虎)で、大規模な軍事活動を行い、シンハラ人政府との交戦状態に入りました。(2009年に終結)

詳しくはウィキペディアなどに譲るとして、紛争の原因の大きな要因の一つはイギリスの統治です。植民地経営のおいて、現地で暴動が起こって自分たちが殺されれては大変なので、少数民族を使って間接的に現地を統治させるというやり方がよく使われました。

「イギリスなど列強が戦後の紛争の火種を作った」という意味ではパレスチナ問題や、現在のイスラム国の問題も似ているところがあります。



【日本とスリランカの関係】
実は戦後の日本はスリランカなしにはありえないぐらいお世話になった国です。第2次世界大戦で敗北した日本に対して、アメリカ、ソ連、イギリス等は日本を分割統治する案を持っており、さらに懲罰的賠償金を請求する予定でした。

そんな動きに「待った」をかけた2つの国があります。一つはインド。「東京裁判」において同国のパール判事は国際法に照らし合わせて日本の無罪を強く主張した人物です。

もう一つがスリランカです。ジャヤワルダナ蔵相(その後第2代大統領)は国連で、

「憎悪は憎悪によって止むことはなく、憎悪をすてることによって止む」

という仏陀の言葉を引用して、対日賠償請求を放棄する演説行いました。結果的にそれが多くの国連参加国の支持を受けたことで、国連の中心的な役割を担う大国は、大手を振って「国連のお墨付き」の懲罰的賠償金を請求することができなくなったのです。

余談ですが、今回お世話になった現地ガイドさんは、ジャヤワルダナ蔵相は当時の政策決定者ではなく、初代大統領のD. S. セーナーナーヤカが実質的な功労者であるという話をしていました。

戦後、吉田茂はスリランカに対して最大の感謝の意を表し、手厚くODAを拠出することになります。

こちらも余談ですが、第1次世界大戦後に連合国はドイツに対して国家予算の20倍という懲罰的な賠償を請求しました。これはイギリス政府に資金を貸し込んでいた金融王J.P.モルガンJr.が政府に圧力をかけた結果であることはよく知られています(NHK「新映像の世紀 第1回」で詳しく説明されています)

結果的にこの賠償金請求がドイツ経済を破壊し、国民の憎悪と怒りの中からヒトラーが生まれるわけですが、同じことを戦後の日本にしようとしていたのも驚きです。


【紛争の終結と中国の影響】
日本やノルウェーを含む国々や赤十字、NGOなどが和平に関わっていたのですが、膠着状態が長らく続いていました。そのような紛争解決に最も影響があったのが中国です。同国はシンハラ政府に資金と武器(戦闘機などを含む)を潤沢に供給し、LTTE殲滅を強力に後押ししました。

chandrika.jpg
結果的にLTTEは壊滅し、2009年に紛争は終結する訳ですが、そのプロセスでは詳しく書くのを憚られるような凄惨な大量虐殺、虐待、略奪が行われており、その中には非戦闘員(女性子供)も多数含まれています。

このような解決方法の歴史的な評価は分かれますが、スリランカが平和を達成し、経済発展の軌道に乗ったたことも真実です。当然ながら、スリランカの中国への感謝は大きく、(親日家は多いものの)日本はすっかりお株を奪われた感じです。

今回の滞在中に読んだ現地英字新聞(Daily News)の政治欄にも、国会議論の中で与党議員発言として「アメリカ、中国」を紛争終結に貢献した国としてあげており「日本はないんだなあ」と感慨深く読んでしまいました。

2000年当時は、LTTEに対する抗戦派のチャンドリカ・クマラトゥンガと懐柔派ラニル・ウィクラマシンが大統領選挙で争っており、あちこちの選挙集会で自爆テロも発生していました。

現在でも同じ顔ぶれがスリランカ政治を動かしており、新聞のトップページでチャンドリカ(女性議員)の顔を見つけて、感慨深いものがありました。

また現地で聞いた話によると、紛争の長期化にはイスラエルが裏で深く絡んでいたそうで、スリランカ軍に武器の輸出や軍事トレーニングをする裏で、LTTEに対しても軍事トレーニングをしていたことが近年明るみになっているそうです。



ハーバー
【中国の思惑と現在】
もちろん中国もお人好しでスリランカを助けた訳でなく、そこには意図があります。中国海軍はアジアからアフリカに連なる「真珠の首飾り戦略」の展開のためにスリランカを連携し、コロンボ港を主要軍港として利用する目的があります。

ホテルから見えたドッグヤードには、中国が整備したというコンテナ運搬施設が見えました。

>「中国製「JF-17」戦闘機をスリランカが購入・・・安価で性能申し分なし

その一方で中国と協力して2009年に紛争を終わらせ、その後中国資本と一体化して独裁的に開発を進めたラジャパクサ大統領が、その権力を利用して一族郎党で私服を肥やしてきたことはよく知られています。(さすがに国民も怒って、今年初めにラジャパクサ氏は大統領選挙で落選しました。ただ選挙が平和に行われたことは素晴らしいことです)

「大統領の弟逮捕 スリランカ、前政権の汚職追及 別の弟も調査」

現在は、ラジャパクサ政権時代に強引すすめられたいくつかの大型開発プロジェクトが止まっており、中国にコロンボ軍港を軍港として提供する契約の見直しも図られているとのこと。



【その他】
>「スリランカ発展を続ける島国 - 高橋邦典 第30回

「元ゲリラ、生活再建中=内戦後のLTTE-スリランカ」

>「スリランカ総選挙 前大統領、首相で復権目指す 脱中国依存に影響も」(2015.8.18)



【おまけ】
sakura.jpgスリランカは外食文化がまだそれほど発展していないためか、タイなどと比べると驚くほど街中にレストランがありません。それでも2000年当時から、2軒の日本食屋がコロンボにありました。

一つは「もしもし」で、たしか立正佼成会の関係者で、スリランカ人と結婚された元お坊さんがやっていたお店です。2007年ぐらいに閉店したそうで、親父さんと再会とはなりませんでした。

もう一つは「さくら」で、高知の料理屋で修行したスリランカの若者がオープンした来年開店30年になる老舗です。こちらは「もしもし」より高かったので、昔はあまり行かなかったのですが、今回はこちらで「HIGAWARI」を800円で食べました。

味はわりと美味しく、スリランカ人で結構賑わっていました。(店内に北島三郎の「祭り」が大音量でかかっており、それが少しうるさかったのですが!)



sakura_20160105194500201.jpgタイやフィリピンには日本のファストフード店が勢揃いという状態なので、スリランカもこのまま経済発展が続けば、おそらくその手のレストランの需要は増えるはずです。ということで、今から仕掛けておけば、面白い勝負ができるかもしれません。

現在、コロンボ市内の日本食屋はかなり高級な「日本橋」などを含めて5−6軒あるようです。

また全般的に以前のアメリカと同じでコーヒーがうまくないので、スタバ的な店や、ちゃんとしたインスタントコーヒーは今後流行るかも。

非営利組織と同等の動機づけが求められるこれからの会社

以前に大学のゼミで講演させていただいた際、学生さんから

「就活先の会社の社長さんに、
ボランティア活動と営利活動の違いについてどう思うか聞かれたんですが
どう思いますか」

という質問を頂いた。

ちょうどドラッカーの「マネジメント」に、その答えにあたる一説を発見した。(やっぱりドラッカー先生は偉大です。)


「動機づけ、特に知識労働者の動機づけは、ボランティアの動機づけと同じである。ボランティアは、まさに報酬を手にしないがゆえに、仕事そのものから満足を得なければならない。挑戦の機会が与えられなければならない。組織の使命を知り、それを最高のものとし、献身できねばならない」(「マネジメント」)


引用元:ドラッカー「マネジメント」(Google Books)

改めて自分の経験を思い出すと、社会人になって初めて勤めたのが国際NGOだった。仕事内容に大きなバリューを感じていたので、給与などの待遇はほとんど気にならなかった。

同僚や先輩には国際政治やら平和構築の修士や博士がゴロゴロしたが、みんな民間に比べると半分以下の給与(しかも雇用保険なし、赴任地は紛争地)でガンガン仕事をやっていた。

その次に務めたのはベンチャー(民間企業)だったが、いま改めて両者を比較するとマネジメントスタイルには結構大きな差があったなと思う。

NGO(非営利組織)で働く人は、金銭的なインセンティブは働く動機として強くないので、マネジメントは

「スタッフの内発的な動機を邪魔しないか」

がキモになる。

事実、同僚が辞めていったのも、待遇がいいとか悪いという話ではなく、自分が価値があると思うプロジェクトを実施できないからだった。

(もちろん基本的生活ができないほど待遇が劣悪だったり、いつまでもスタッフの内発的動機に頼りすぎてマネジメントがめちゃくちゃだと、それらが「衛生要因」となって離職率を上げるファクターになることもある。)

一方民間組織でも動機付けは極めて重要だが、非営利団体に比べると金銭的なインセンティブの重要度がぐっと高い。

少々語弊があるが、内発的動機が満たされなくても、安定してお金を貰えるならば仕事を辞める確率は、非営利団体に比べて低い。

もっと平たく言えば、少々上司が気に入らなくても、お金がもらえるなら我慢できるのだ。

ただし、ドラッカーを読んでいると、
これからは民間企業でも金銭的インセンティブ(外発的動機づけ)重視から非営利団体並みの「内発的動機付け」を重視する体制に移行しないとダメなことがわかる。

むしろそうしないと
実力のある人材(プロフェッショナル)ほど会社を抜けていき、しがみつかなければならない人だけが後に残ることになる。

当然ながら会社は競争力を失う。

さすがドラッカー、未来を予見しているなあと改めて思う。

学びの守破離

起業家向け雑誌「アントレ」(リクルート刊 2015秋号)に

学び守破離

というテーマでインタビュー記事を1P掲載いただきました。

http://entrenet.jp/magaplaza/


きっかけは、2011年に出版した「プロフェッショナルを演じる仕事術」(PHPビジネス新書)の関連記事をご覧いただいたこと。

▼PHP Biz 衆知
「一流ビジネスマン」の真似をしていると 、いつの間にか成功できる!
http://shuchi-new.iamdn.com/article/395?p=1

記者さんによると「弟子入り」っていうコンセプトがだんだん盛り上がってきているそうです。

—————————

「弟子入り」っていうとなんとなく古風な感じもしますが、

最近ではITベンチャー企業などでも、
社長のかばん持ちインターンを募集したり、

社内メンター制度を作って
擬似的に師匠と弟子の関係を作り出したりと、

現代版の弟子入り制度を作っています。

ちなみに「守破離」とはもともと武道や華道など「道」を
極める世界で使われていた学びのステップを表した言葉です。

守:師匠の技(型)を模倣し、身に付けるフェーズ
破:型に自分なりのアレンジを加えて発展させるフェーズ
離:自分なりの型を生み出すフェーズ

余談ながら、観阿弥世阿弥が「守破離」の元祖という解説を
たまに見受けますが、これは「序破急」の誤り。

守破離」のコンセプトが成立するのは茶道の流れからで、
千利休のずっと後の江戸時代の茶人 川上不白です。

ご興味がある方は、松岡正剛氏の解説をどうぞ。

守破離の思想
 http://1000ya.isis.ne.jp/1252.html


教育って、究極的には「知識」ではなく、
精神(魂)を伝承するようなところがあるので、
その方法として「守破離」が注目されるのは
当然といえば当然かもしれません。

インタビュー記事では、(言葉には出していませんが)
最近どんどん注目が集まっているMIT(マサチューセッツ工科大学)の
研究員であるシャーマーの「U理論」的な概念を利用しながら、
学びの概念をシンプルに解説しています。

稚拙な説明で読者に伝わったかな。。。。。汗。

「下町ロケット」に学ぶ社内対立を乗り越える交渉術

池井戸潤原作「下町ロケット」第5話(ロケット編)が昨日放送(2015/11/15)されました。

最大の見せ場は、帝国重工の経営会議で財前部長が藤間社長に佃のバルブを使うことを進言するシーンでした。

多くの社員たちにとって、”ロケットのキーテクノロジーはすべて内製化する”いう藤間社長の掲げる方針をひっくり返すことは不可能で、そんなことを提案しようものならクビが飛ぶことを恐れていました。

案の定、四面楚歌の状況で吉川晃司演じる財前部長が、藤間社長に向かって「佃製のバルブを使用したい」とプレゼンしますが、藤間社長は

「ありえん」

と一蹴。

ただそこからの財前部長の交渉(社内説得)が素晴らしかったので、図解してみました。

スライド1

まず対立のポイントは

「佃製作所製のバルブを使う」vs 「佃製作所製のバルブを使わない(帝国重工の内製品を使う)」

です。

この「手段」のレベルで対立すると、通常は罵り合いになって状況を悪化させたり、パワーが強い方が押し切る形になります。(当初の藤間社長もこの手段レベルで「ありえん」と判断したのでした。)

そこで、交渉では「手段」の奥にある「ニーズ(要望/本音)」に注目します。すると

-「佃製作所製のバルブを使う」
 →「プロジェクト(スターダスト計画)を成功させるには世界最高の部品を使いたい」

-「佃製作所製のバルブを使わない(帝国重工の内製品を使う)」
 →「それが社長の方針であり、帝国重工の技術力をアピールしたい」

という思いがあるの分かります。

通常の対立の多くは、この「ニーズ」に同時に満たす方策をさがすことで解決に向かいます。

では今回の場合、

「プロジェクトを成功させ」かつ「帝国の技術力をアピールする」

うまい方法があるでしょうか?

この難しいシチュエーションで財前部長は「最優先事項」をアピールします。

つまり、

「プロジェクトを成功させる」

ことが全てにおいて最も重要であり、そのためには「考えられる世界最高の技術を使う必要があり」、そのためには「佃製の部品を使うべきである」という主張です。

そもそも「ロケットの打ち上げは高いリスクを伴うので、少しでも安全性を高める必要がある」という前提があるので、

「プロジェクトを成功させる」には

「内製品を使う」<「佃製を使う」

となる訳です。

財前部長はこうアピールします。

社長も昔は帝国重工の優秀なロケットエンジニアだったと存じております。社長に正しい判断をしていただけると信じております。

ここがこのシーンで最も重要なセリフでした。

こう言うことでどういう結果が起こったのでしょうか?

自身もかつてこの分野のプロフェッショナルであり、いかにリスクが高いかを分かっている社長は、自身のプライドをかけて自主的にどちらを選ぶべきかを判断をしたのです。(もっといえば、誰かに説き伏せられて何かを判断した形にはならないので、メンツもきちんと守られました。)




交渉術的には「最優先事項」を

「相手(全員)の従うべき規範(Norm)」

と言います。もし社内で対立が起こっている場合、まずは対立を乗り越えて全員が従うべきこの規範(目的/目標)をきちんと確認し、お互いがどう行動すべきか本人に考えるよう促すことで、禍根を残さない形で対立を解消できることも多いのです。

ちなみに図解でみると分かりやすいのですが、

「スターダスト計画を成功させる」ためには「帝国重工の技術力をアピールしたい」という主張はロジカルではないのです。この図解は、「クラウド」と呼ばれる対立解消のためのフレームワークです。

もっと詳しく知りたい方は参考図書をどうぞ。

考える力をつける3つの道具
岸良 裕司 きしら まゆこ
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 4,606



また上記のシーンは民放連合の動画サイト「TVer」で見られますので、ご興味がある方はどうぞ。
http://www.tbs.co.jp/muryou-douga/rocket/005.html

eラーニングアワード2015 雑感

毎年開催されているeラーニング関係のイベント「eラーニングアワード 2015」に行ってきました。

私が参加した講演をベースに気になった点をメモします。

大雑把にまとめると、これまでコンセプトベースだったり、マニュアルで感覚的にやっていたことが、具体的にアルゴリズムによって実現/自動化されてきた感じです。(最近注目の自動車の自動運転技術の動きともオーバーラップしますが。)



▼Learning Analytics(ラーニング・アナリティックス)の進化

デジタルナレッジの吉田取締役の講演が面白かったのですが、LMS(Learning Management System/学習プラットフォーム)上でユーザーの行動をトラッキングする技術が洗練されてきました。

例えば
「どれぐらいの頻度で何時にログインしているか」
「どれぐらいの時間映像を見ているか」

などは昔からログが取れましたが、

それらを集めて

「どのKPIとどのKPIがどれぐらいの強さで相関性があるか」
「BigData的な観点からユーザーの傾向を分析し、どのユーザーがドロップアウトしそうか」

といったことが精緻に分析/予想できるようになり、アルゴリズムを組んで自動的に予防的な対策を打てるようになってきました。

また、いままでは使っている学習システムが違うと、データを集約して分析するのが難しかったのですが、このあたりが「Experience API (Tin Can API)」とか、「IMS Caliper」などの統一規格で標準化され、ラーニングアナリティックスが容易になります。

この先には「IoT」を使った生体データ(心拍数や姿勢など)の集約も可能になるので、学習が全方位的にデジタル化されてくることは確実です。

余談ながら、私がビジネススクールの運営責任者をやっていた時は、データ分析をひたすら手動でやっていました。サーバーのログをマクロを組んだエクセルにインポートして分析する形ですが、それらの分析作業+アクションがアルゴリズムによってどんどん自動化するわけですから夢のようです。

また最近は中高でもeラーニングの活用が増えてきています。

特に日本の教師は忙しいので、こういうシステムを活用して先生の時間を解放し、教師本来の仕事である生徒への個別のケアを手厚くできるようにしたり、データに基づいてドロップアウトを防いだりすることができるようになりそうです。(教師の仕事のうち、ルーティン部分はほとんど代替されるので先生もレベルアップが必要。)



▼Adaptive Learning(アダプティブラーニング)の実用化

前述のLearning Analyticsにも関係しますが、こちらはユーザー(学生)のレベルに合わせて、自動的に確認テストの出題パターンなどを変えて最適な学習環境をユーザーに提供しようとするもの。

例えば、2次方程式の回答を間違った場合、途中の計算式を分析しながら、どこが分かっていないのかを判別した上で、どこを重点的に復習をしてもらうのが最も効果的かを判別できます。

ある生徒の誤答はケアレスミスかもしれませんし、他の生徒は根本的に因数分解の理解が甘くて間違っているのかもしれません。それを自動的に判別し、その解説に当たるショート動画をインスタントにプロンプトして、復習を促すことで効果的に学習ができます。

数学(算数)のようにある程度、回答のフォーマットがあって、教科書指導要領で内容が標準化されているものはモデルが作りやすそうなので、一旦システムの精度が閾値を超えると、補助教材としてどんどん学校現場での導入が進みそうです。

こういうアダプティブな仕組みは英語試験(TOEFL のCBT/Computer Based Test)などでは、すでに実用化されていますが、この技術もどんどん進みますね。



▼MOOCのNano Degree 化

MOOC(Massive Online Open Course/大学のオンライン無料講義) が社会認知を得てきて、そこから学位(Degree)を発行する動きになってきています。MOOCで取得した単位を、実際のキャンパスで学位取得するコースにトランスファーしたり、MOOC自体の修了証がNono-Degreeとしてそれなりに価値を持ってきています。

Linkedinで、MOOCのNano-Degreeを履歴書に書くのも当たり前になってきています。

*参照コラム
NHKでMOOCS紹介「あなたもハーバード大へ ~広がる無料オンライン講座~」

クラウドソーシングで仕事を依頼する場合、関連分野でのMITのナノディグリーをもっている人と、謎の3流大学の正式学位をもっている人のどちらを選ぶか、みたいな世界になってきますね。



▼「受験サプリ」「勉強サプリ」(リクルート)の成功

カリスマ教師の講義動画が月額980円で見放題というかなりお得なサービスでユーザーが激増しているそうです。大学受験と言えば、東進、河合塾、そして代ゼミ(最近はパワーダウン気味?)ですが、既存のプレーヤーは校舎を抱えていたり、これまでの動画の価格体系があるので、リクルートに月980円で戦いを挑まれるときついでしょう。

ある種、個別のサポートをバッサリ切っている分だけ安くできるわけですが、前述のLearning AnalyticsやAdaptive Learningなどのシステムをうまく組み合わせると、個別サポートの部分もある程度デジタル的にカバーできそうです。

個人的には、どんどん競争が激しくなって映像部分は今後フリーミアム化が進むと見ています。



▼ゲーミフィケーション
・今年アワードを受賞していた作品のなかに、低学年向け英会話学校のゲーミフィケーション系アプリがありましたが、これは弊社で2年前にリリースしていた

トイクルクエスト

と基本的には同じコンセプト。

イラストなどにかなりお金がかかっている様子だったので、資本力では負けますが(^^;)、モチベーションを高めるためのコンセプトはまったく同じですね。トイクルも資金的な余裕ができてきたら、学習プラットフォームとしてリニューアルさせたいところ。

ゲームを他の分野に応用する「ゲーミフィケーションについてはこちらのコラムに詳しく書いていますが、オンライン学習には必須の要素ですね。



ゲーミフィケーションの理論によれば、ゲーム設計において代表的な要素は下記のようなものです。

▼基本
・ゴール(何を目指すのか)
・ルール(ゴールを目指すにはどんな約束事を守ればいいのか)
・デザイン(ゲームの世界観)
・演出(プレイヤーをのめり込ませるための仕掛けやイベント)

▼ゲーム性の設計
・自由度(プレイヤーが自律的に行動するための適度な自由度がある)
・競争と協業(ゴール達成のためには戦ったり協力したりする必要性がある)
・報酬(ステージを進むプロセスで報酬が得られる)

▼導入
・ガイド(ゲームの世界に誘う案内役や、ゲーム場の仕掛け)
・難易度(プレイヤーのレベルと、ゲームの難易度がマッチすると「のめり込み」状態が発生)
・見える化(プレイヤーが自分の状況を把握できる)
・インターフェイス(ユーザーが使っていて違和感を感じない事)

これらを学習のコンテクストで考えると、例えばAdaptive Learningにおいて、ユーザーの能力に合わせて問題を少しだけ難しくするといったアルゴリズムが考えられます。

簡単すぎるゲームは面白くないし、難しくすぎてもダメ。テストで言えば80−90点を取れる問題がユーザーにとって一番モチベーションが上がるのです。



▼その他/雑感
・ビデオ会議システムを使った「LIVE授業」は期待されたほどは盛り上がっていない様子。一見リアルタイムの中継は臨場感があってかっこいいのですが、やはり時間的制約があるのはきつい。ポイントポイントで使うのが良さそうです。

・LMSはBlackboardから、Moodle(Moodleroom)、Edomodo、Edonityなどが勃興している模様。Digital KnowledgeさんのLMSも良さそう。

DeNA南場さんに学ぶ新規事業の作り方

DeNAファウンダーの南場さんといえば、フランクな語り口で本質をズバッとつくので、いつも勉強になります。

その中でも、今回の映像はDeNAの新規事業創出システムについて、いろいろな示唆が聞けるMust Watchな内容です。

▼動画
 http://www.ustream.tv/recorded/74161078

★下記はそのポイントです

▼DeNAが新規事業を始める時のルール
1)市場が十分にでかいか(これから伸びるか)
2)その市場で勝てるか
3)「やりたくてたまらない」と目が輝いている奴がいるか

▼経営会議は何をやるか
 法務/コンプラのチェックのみ(売れるかは判断しない)

 背景:以前、自分がダメ出した社員アイデアを他社がはじめて大ヒットしたことがあった

 学び:偉いおじさん/おばさんが判断したら間違える

したがって下記に変更した。

▼経営会議の役割: 
1)go, not goは経営会議が判断しない
  (特に初期投資がかからないアプリなど)

2)サービスを使ってみたユーザーを見て今後を判断

3)いけそうならスケールさせる



経営陣はマネジメントのプロであっても、必ずしも新規事業を見極めるプロではありません。特に新サービスが対象とするユーザー層が、経営陣の属性と離れている場合はなおさらでしょう。(女性向けのサービスを、男性の経営陣だけで判断するのが難しいのと同じです。)

南場さんも映像でおっしゃっている通り、新サービスをリリースする前に3Cとか4Pみたいな分析をやっても、それほど成功確率は上がるわけではない。

むしろ投資額やリスクが低いなら、どうしてもそれをやりたい奴にサービス(MVP/検証用のプロトタイプ)をリリースさせてしまい、ユーザーの声やKPI(リピート率などの指標)をチェックしながらブラッシュアップしていき、いけそうならそれをスケールさせる段階でMBA的な分析ツールを使った方が良いという、当然と言えば当然の話です。

▼いままでのやり方
1)ターゲット調査/コンセプト作り
2)ビジネスモデル構築
3)設計/業務
4)リリース

▼現在のやり方
1)UX(ユーザーエクスペリエンス)を考える
2)プロトタイプを作る(β版でユーザー反応を見る)
3)ビジネスモデル構築
4)リリース

つまり「戦略」ありきではなく、「ユーザーの感動体験」が先にあるということ。

○ UI/UX leads Strategy
X Strategy leads UI/UX

「イノベーション」を標榜しつつも、なかなか斬新なアイデアが社内から出てこない会社は、新規事業を評価するプロセスのどこかがボトルネックになっていないか、考えてみてはいかがでしょうか?

その際にDeNAの知見はかなりお役に立つはずです。

小学生の答案をバツにしてしまった先生のジレンマ

先日、面白いネットコラムを発見しました。

ある小学生のテストの答案に対して、先生がバツ(不正解)をつけている実際の写真をベースに、読者が意見を交わしている内容です。

問題文はこんな感じです。

「1ふくろ8こ入りのチョコレートが7ふくろと、ふくろに入ってないチョコレートが17こあります。全部でチョコレートは何こありますか?」

▼小学生の回答
8×7+17=73こ

答え自体は正しいのですが、先生は赤ペンで「8×7」の部分に波線を引いて

「なにこれ?」

と冷たくコメントしています。(もちろん0点)

なぜバツになったかといえば、足し算引き算を習ったばかりのクラスだったので、先生はテストでそれを使って欲しかったようなのです。つまり、

8+8+8+8+8+8+8+17=73

という答えを期待していたのに、まだ教えていない「掛け算」を使っていたので、掛け算の部分に赤を入れて「なにこれ?」(*まだ習ってないでしょ。)と書いたという訳です。

さて、皆さんはどう思われるでしょうか?

「まだ教室で教えていなくても、間違いじゃないのだから正解でいいんじゃないか」
「こういう杓子定規な教育だからダメなんだ」


といった声が大多数なのではないでしょうか?

ただし、このまま先生を悪者にしても何の解決にもなりません。

そもそも、
なぜこの先生が掛け算をバツにしてしまったのか、その背景をちゃんと理解することで問題は初めて解決するのです。

つまり、

先生個人としては「正解」でも良いと持っているが、公の立場としては「不正解」とせざるをえなかった

という状況があるのではないかと考えてみるのです。違う言い方をすれば、先生は「ジレンマ」を抱えていたのです。

これを「クラウド」というフレームワークで図解してみましょう。

先生のジレンマ

DとD'は、ジレンマを引き起こしている「立場の違い」を示しています
BとCは、それぞれの立場の奥にある「思い(本音)」を示しています。
Aは、それぞれの立場に共通している「ゴール」を示しています。


先生側のハコ(上側)を見てみると、

「(A)良い教育をするためには、→(B)(基礎力である)足し算をしっかり理解させたい、→(D)だから出題範囲以外の方法は使わないでね。だからバツ。」

もう一方は、

「(A)良い教育をするためには、→(B)向学心を積極的に評価したい→(D)だから出題範囲以外の方法でも正解ならOK。だからマル。」

という思いがあったことがわかります。

ここで重要なのは、BとD(またCとD')の間にある背景(そう思うに至った理由)です。

学校の先生は多忙です。特に日本の先生は雑務が膨大で、企業のようにIT化されていない業務も多く、正直子供にかけられる時間があまりとれないのが現状です。

つまり次々と降ってくる雑務をこなすことで手一杯なのです。
(実際、*日本の教員の労働時間は世界から見ても突出して多く、精神疾患で退職/休職する人も年々増えています。民間企業でいればブラックに近い状況にあります。)

>NHK「おはよう日本」(特集コーナー)2016年7月19日(火)
教員の長時間労働 改善に向けて


そこに来て塾でどんどん予習してくる子もいるのですから、「どの子にあわせて授業すればいいか」は、かなり重大なポイントです。

仮に、まだ教室で教えていない「かけ算」を使って黒板に回答を書く子がいて、みんなの前で先生がそれを高く評価したら、他の生徒はどう思うでしょう?

「すごいな。私も早く習いたい」

と思う子がいる一方で、「ずるいよ(まだ習ってないのに)」と思う子もいるでしょう。さらにそれが変に親御さんに伝わると

「(公立の学校で)塾に行けるようなお金持ちの子をえこひいきするようなんて、なんなのよ」

と曲解してクレームになるケースも出てきます。

義務教育は、社会人になるための「基礎」を教える場ですから、できない子を置いていく訳にはいかないし、ましてやお金持ちの子を優遇するのはもってのほかです。しかし、向学心溢れる子どもが、せっかく「掛け算」を予習してきたのに、それを全面否定するのもどうなんだろうと思う訳です。

ただ向学心を評価して「○」にしたからといって、周りがその先生の行為を積極的に評価してくれるわけではありません。

むしろ職員会議で「**先生のクラスだけ勝手なことをしないでください」と学年主任から叱られる可能性すらあります。

だからこそ難しいジレンマなのです。

もちろん先生も、多忙な業務の中でこういう(青臭い)ジレンマをずーっと抱えていると精神的に辛いので、「出題範囲以外の解答方法はバツにする」と決めてしまった方が楽になれるかもしれません。

またそれをずーっと繰り返していくうちに、「当たり前」になり、ジレンマを抱えていたことすら忘れてしまうかもしれませんし、ついには自分を正当化する方向に行ってしまったのかもしれません。(だからこそ「なにこれ」という一見冷たいコメントを書いてしまったのかも。)

ただ少なくとも、こういう風に書き出してみると、先生が一方的に「冷淡」で「杓子定規」だから、回答をバツにしたのではないことがわかるでしょう。

ベストセラー「7つの習慣」に有名な言葉が出てきます。

「理解してから理解される(Seek First to Understand, Then to Be Understood)」

これが第一歩です。

そのためには、相手に「悪のレッテル」を張しまう衝動を抑える忍耐が必要です。

実際、大多数の人が、一方的に「(日本の)先生は社会的常識がない」と思っているとしたら、それが間違っているかもしれないと理解するだけでも、問題解決者としては、相当先を進んでいると言えます。

ほとんどの先生は情熱に溢れ、子供と一緒に学校をすばらしい学び舎にしようと思って、教員採用試験を受けたはず。それがなぜ「組織人」として働いているうちに、このようなジレンマに陥り、今回のような選択をしてしまったのでしょうか?そこまで考えれば、組織自体のマネジメントの課題が見えてきます。

●ジレンマの解き方

さて、このようなジレンマを解くときに重要なのは「見える化」すること。すでに上のフレームワークで見える化したことで、一方的に先生を非難することが正しくないのは明らかです。

さらにもう一歩踏み込んで、解決策を考えてみましょう。

その方法は、今回使用している「クラウド」をはじめとしたフレームワークの開発者 E. ゴールドラット博士の愛弟子である岸良裕司氏の著書「全体最適の問題解決入門」に詳しく解説されています。

その要点をまとめると、解決策には下記の4つのパターンが存在しています。

1)「D. 先生の立場」×「C. 自分のニーズ」(手の立場優先)
2)「D' 自分の立場」×「B.先生のニーズ」(分の立場優先)
3)「D' 自分の立場」×「D. 先生の立場」(と場合によって両立させる)
4)「B. 先生のニーズ」×「C. 自分のニーズ」(案ひらめき/バリュークリエイション)

これをそれぞれの頭文字をとって「相自時妙(そうじじみょう)」の解決法と呼びますが、要は2つのハコを両立させる解決法を考えるのです。

先ほどの図(クラウド)をもう一度見てみます。

先生のジレンマ

例えば、

1)「D. 先生の立場(バツにする)」×「C. 自分のニーズ(向上心を評価)」

を考えるなら、バツの評価するけど、コメントに

「よく掛け算を使えたね!でもいまはもっと足し算の練習をしよう」

と書き添えるだけでもずいぶん印象は違います。そして、他のパターンも全部考えてみて、ベストな解決策を選んで実行し、PDCA(Plan=Do=Check=Action)サイクルを回して、ブラッシュアップ(改善)していくのです。


●個人から組織の視点に

現実的には、まずは先生個人の視点からできる解決策を考えるのがよいと思いますが、中長期的に「組織」としての学校のマネジメントの視点から、もっと別の解決策も考えられます。

例えば、現在の「背景にある原因/考え(E)」には

「先生のキャパが足りない」

という原因があります。ここを解消できれば、B→Dという流れが断ち切れます。
例えば、

ー「部活の顧問」は外部にアウトソースする
ー先生の事務作業を減らす(物理的に減らす、クラウドサービスの利用など)
ーアシスタントをつける

などが考えらます。

さらにその奥には、

学校クラスでは、様々なレベルの生徒を一律に教えなければならない」
「学校は年齢ごとに、物理的に教室に集合して行う」
「指導は人間が行う」


という隠れた前提があることがわかります。

ではこれは本当に正しいでしょうか?

たとえば、デジタルデバイスを活用して、同じ教室の中でもそれぞれの生徒が自分のレベルに合わせて学習をする方式は、個別指導系の塾ではすでに実現しています。

また物理的に集合しないとクラスは成り立たないのかといえば、これも怪しい前提です。東進ハイスクールのように教室で撮影している映像をスマホで見られるように中継したって授業は成り立ちますし、離れていても質問や雰囲気も感じられるようなVRデバイスは今後どんどん出てきます。

さらに同じ教科書指導要領をベースに日本全国で授業をしているなら、ソフトバンクの「ペッパー」のようなロボットに有名先生のモデリングした授業をやらせ、生徒からの数十万の質問パターンをクラウドで集めて「ベストアンサー」を作り出し、それを全国の先生ロボットにフィードバックしてアップデートした授業をやらせるようにすれば、生身の先生が悩まなくても良くなるかもしれません。

もちろん

「みんな同じ教室で同じ進捗で勉強するから一体感が出ていいんだ」
「生身の先生がライブで教えるから、魂が伝わるんだ」

といった意見もあるはず。そうなったら、また

「同じ進捗で勉強する」vs「個人の進捗に合わせて勉強する」
「生身の先生が教える」vs「ロボットが教える」

というクラウドを作って問題点を見つけ、クリエティブな解決法を考えていけば良いのです。




世の中の「問題」はたいていの場合、ジレンマによって生み出されていると言っても過言ではありません。

ぜひ皆さんも「クラウド」を使って問題解決にトライしてみてはいかがでしょうか?





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こちらもオススメです。

完訳 7つの習慣 人格主義の回復
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参考記事
子どもの貧困「お金持ちになりたい、塾に通う子をずるいと思ってた」
朝日新聞デジタル | 執筆者: 朝日新聞社提供
投稿日: 2015年11月01日 09時48分 JST 更新: 2015年11月01日 10時09分 JST

インドネシア高速鉄道の失注に学ぶ交渉術

インドネシア新幹線、真に敗れたのは誰か
超大型案件は中国に軍配が上がったが…
大坂 直樹 :東洋経済 編集局記者 2015年10月17日

http://toyokeizai.net/articles/-/87558

日本はインドネシアで大きな案件を落としました。その背景には、日本が歴史的に多額のODA(政府開発援助)を同国に提供しており、当然

「鶴の恩返し」

をしてくれるだろうと見込んでいた節があります。今回、その目論見がまんまと外れてしまったわけです。

もともとインドネシア政府が出していた条件は下記でした。

1)政府に財政負担が生じない
2)融資に対する返済保証を政府は行わない
3)企業連合などが建設から運営まで当たる

これらの条件は決定的に重要で、その背景にはジョコ大統領が

「お金を使うなら高速鉄道じゃなく、電気や道路インフラをなんとかしろ」

と有権者から突き上げられている事実があり、過去に円借款の恩義があったからといって、それを優先したら次の選挙で落選するリスクが高いのです。

だからこそ、見積もり価格では日本より高かった中国案を選んだのです。

つまり「交渉術」で最も重要な相手のファーストプライオリティのニーズを満たすことを軽視し、過去の恩義や人脈のプッシュで乗り切ろうしたところに無理があったとも言えるのです。

中国が原発や武器輸出をパッケージにしているという理由もあるでしょうが、やっぱり「政府が返済保証をしない」というのが、際立って重要なファクターだったことが変わりません。



このニュースを受けて、日本では

「中国の新幹線なんて危ないよ」
「わかってないな」
「インドネシア政府が破綻したら中国は泣きをみるぞ」

といった意見もありますが、少なくとも中国高速鉄道は中国国内で普通に走っていますし、もともとの技術は日本の新幹線を一部模倣したものなので、それなりに安全です。

もちろん日本ほどの完璧なレベルではないにしても、牛丼を注文しているお客に、「こっちの方が美味しいから」とステーキ丼をオファーしても断られるのです。


同じように日本は戦後スリランカに膨大なODAを拠出していたにもかかわらず、中国べったりのラジャパクサ政権の元で10年近く冷遇されてきました。

*同国の内戦を終わらせるために中国が軍事支援をしていたのも一因と言われています。

今年、シリセナ大統領に政権が変わって状況は変化しそうですが、

過去にODAを出して恩を売ったからといって、インフラ整備に絡める時代は、AIIB(アジアインフラ投資銀行)の件や、上記でご紹介したインドネシアの高速鉄道失注の件を見ても終わっています。

もちろん中国経済が減速して、国内で余ってしまっているインフラ建設のキャパシティを海外に振り向けたい、だからんりふり構わず、条件の悪いディールでも引き受けているという背景もあるでしょう。

そんなインフラ輸出競争でライバルになっている中国に、未だに日本がODAを出し続けているのは喜劇に近いかも知れません。

Appendix

若林計志

株式会社フローワン代表取締役。日本最大級の海外オンラインMBAを立ち上げ、事務局長を約11年間務めた後、独立。ビジネスパーソンのマネジメント力アップ、学習システム/アプリの開発等に取り組んでいる。 TOCfE国際認定コース修了。コロンビア大学大学院ICCCR 交渉術講師認定コース修了(by Dr.B.Fish) info@flow-one.com

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